他人の不幸は蜜の味…|シャーデンフロイデとは

友達のちょっとした失敗に、内心ほっと胸をなでおろしてしまった。
SNSで炎上している人の投稿を、つい眺めてしまう。

そんな経験はありませんか?

こうした他人の不幸をみてどこか安心してしまう気持ちには、シャーデンフロイデという名前がついています。

これは、特別に性格が悪い人だけに生まれる感情ではなく、
SNSが日常になった今では、多くの人が無意識に経験している、ごく自然な心理反応のひとつです。

では、なぜ私たちは他人の失敗や不幸に対して、このような複雑な感情を抱いてしまうのでしょうか?
その理由とメカニズムを、心理学の視点からみていきましょう。

目次

シャーデンフロイデとは?

シャーデンフロイデは、ドイツ語の Schaden(損害)Freude(喜び)を組み合わせた言葉です。
日本語には一語で言い当てる言葉がなく、「他人の不幸は蜜の味」という表現が近いものとして使われてきました。

2009年の科学誌『Science』に掲載された研究(高橋英彦氏ら)によると、妬んでいる相手が不運に見舞われたとき、脳の「報酬系(うれしいときに働く領域)」が強く活性化することが分かりました。

つまり私たちの脳は、他人の失敗を「自分が得をした」と勘違いして喜んでしまう仕組みになっているのです。

では、なぜそんな反応が起きるのでしょうか?

ひとつの要因は「自分自身への評価」です。2011年の心理学実験(ファン・ダイク氏ら)では、
自分の評価が脅かされ、自信を失いかけている人」ほど、他人の不運に強い喜びを感じるという結果が出ています。

誰かの失敗を目にしたとき、私たちは「自分はまだ大丈夫だ」と、揺らいでいる自分への評価を無意識に確かめようとする。どこかホッとしたり、わずかに心が軽くなったりするのはそのためです。

日常にあるシャーデンフロイデの例

SNSでインフルエンサーが炎上しているのを目にしたとき

SNSでインフルエンサーが炎上しているのを見ると、普段はきらびやかな生活ばかりが目に入る分、
その姿にどこか安心するような感覚を覚えることがあります。
自分よりも上にいるように感じていた人が失敗すると、自分の価値が少し上がったような錯覚に陥る。
これも日常に見られるシャーデンフロイデの一例です。

同僚の昇進話がなくなったと聞いたとき

表面上は「残念だったね」「次があるよ」なんて慰めの言葉をかけながらも、内心では「先を越されずに済んだ」とホッとしている自分がいる。
自分が置いてきぼりにされる恐怖や焦りから解放され、どこか満たされた気持ちになってしまう。
身近なライバル関係だからこそ生まれる、シャーデンフロイデの一場面です。

スター選手の不調

大きな期待を背負ってメジャーに挑んだ選手が、思うように結果を残せず苦しんでいるとき。
「10年に1人の逸材」とまで言われた選手が、いざ蓋を開けてみればマウンドで打ち込まれ、バットも空を切り続ける。その姿を見た瞬間、心のどこかで「やっぱりな。メジャーはそんなに甘くないんだよ」と、なぜか自分が勝ったような気になってしまう。

世間から特別扱いされていた天才が、自分たちと同じように失敗や挫折を経験する姿をみてどこかホッとする。
同じような感覚を覚えたことがある人も少なくないのではないでしょうか?

まとめ

他人の不幸を喜ぶシャーデンフロイデは、私たちが社会の中で他人と関わりながら、自分の立ち位置を保とうとする中で自然に生まれる感情です。

SNSや職場、スポーツ観戦など、日常のさまざまな場面で私たちは無意識のうちにこの感情と向き合っています。

それを自分の性格の問題として片づけるのではなく、誰にでも起こりうることなんだと捉えてみる。
そうすることで、他人の言動だけでなく、自分のなかに湧き上がった負の感情にも、少しだけ距離を置いて向き合えるようになるかもしれません。

シャーデンフロイデについてもっと知りたいと思った方は是非書籍も手に取ってみてくださいね。

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